ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

他人事なら平気だよね、他人事なら。~車いすユーザーの「乗車拒否」問題

diamond.jp

 この記事。相変わらずはてブコメントが地獄。健常者様がちょっとでも施しをくれてやったら、障害者はありがたく押し頂かなければならないなんて身分意識が露骨に見える。お金がかかる。うん、バリアフリー化にはお金はかかる。それがどうした?

 「平成4年版運輸白書」から次の一節を引用する。

これらの輸送力増強投資は、需要の誘発に直接は結びつきにくく、鉄道事業者の収入の増加にはつながらないものであるが、それにもかかわらず、関東大手民鉄7社の輸送力増強投資は、過去5年間で1兆円を超え、実にその間の運賃収入の半分に達している。

 あなたがラッシュ時に曲がりなりにも通勤電車に乗るために、たった5年間で1兆円を超える投資がされた。鉄道会社は、けっしてあなたを乗車拒否しなかった。収入の増加など見込めなくても、5年間で1兆円を超える投資(1992年時点で)を大手私鉄は行った。あなたのための投資なら無駄ではないが、障害者のための投資は無駄とでも言うのだろうか。

※参考

その後の大手私鉄の輸送力増強のための投資については、日本民営鉄道協会のサイト*1

に数値が掲載されている。これによれば、1992年から2019年までの間に、3兆円弱の投資がされた。

鉄道をめぐる環境が日本と大きく違う北欧は参考にできない

 今、この記事がバズっている。

anond.hatelabo.jp

 うーん、鉄道の位置づけが日本とは違う国を引き合いに出しても、と。日本国内でもたとえば北海道と関東近郊では様相が異なる。

 わたしは、2012年夏、北海道に行った。当時青森から札幌の間を結んでいた夜行列車「はまなす」で札幌に降り立った時、一番最初に驚いたことは、列車の到着をいちいち案内していたこと。札幌終着の列車でも、どこどこ方面からの列車が到着しますと案内していた。さらに、コンコースに降りると、列車の到着案内の電光掲示板が設置されていた。これまた、列車の始発駅と、札幌駅の到着時刻、定刻通りに着いたか、あるいは遅れて到着したか、はたまた遅れて到着する見込みか、そこまで案内していた。おそらく、列車で来る人を出迎える人のための表示だろう。札幌近郊はともかくも、北海道全体を見渡すと、鉄道で移動するのは非日常だ。それこそ時刻表を見て、数日前から計画して、列車に乗る。関東近郊、あるいは東海道新幹線のように、駅にふらりと行って来た電車に乗るなんてことは考えにくい。この感覚、さほど鉄道システムに詳しくないわたしが言葉にして伝えるのは難しいが、とにもかくにも、道路を歩く感覚で鉄道に乗る(御茶ノ水駅はそのような乗客を前提に設計された)なんて環境ではなかった。

 鉄道がどれだけ利用されているかを測る尺度に、輸送密度がある。平均通過人員とも言う。日本民営鉄道協会の解説が比較的わかりやすい。

www.mintetsu.or.jp

 とりあえずは、高ければ高いほど多くの人が乗っている、と理解してほしい。さて、北欧の鉄道輸送密度。これは、国土交通省の政策課題勉強会の資料に詳しい。国ごとの比較も載っている。

www.mlit.go.jp

 資料の3ページを見ると、デンマークはともかく(それでも日本なら間違いなくローカル線と分類される)、ノルウェースウェーデンフィンランドは日本よりもはるかに乗客が少ない。正確な数値は読み取れないが、どうやらJR北海道よりも遥かに乗客は少なそうだ。

 さっき、北海道を旅した時に感じた感覚を話した。北欧の鉄道の乗客はその北海道よりも少ない。鉄道を日常的に利用するような環境ではないと推測できる。そういう地域の鉄道と、日本の鉄道は環境があまりにも違い過ぎる。

 その環境の違いは、「定刻発車」についての意識にも違いがある。日本の場合は、とにかくたくさんの乗客をさばくために秒単位での定刻運行が求められた(それが、1分30秒の遅れを取り戻そうとした結果の事故につながったのだが)。一方、ヨーロッパでは、乗客が少なければ当然列車本数も少ない。そんな鉄道だと、15分以内の遅れは「定刻運転」として済まされるし、仮にそれ以上遅れたとしても大した問題にはならない。このあたりのことは三戸祐子定刻発車」(新潮文庫)に詳しい。

 まとめ。鉄道をめぐる環境は、ヨーロッパと日本では大きく違う。その違いを無視して、安易に比較することはできない。 

www.hanmoto.com

 

「子どものための保護」への不信

 はてブで書くには長すぎるので、こっちで。

air.ap.teacup.com

 そもそも、教師が子どものためにと思ってやってることそれ自体が信用されなくなっていることを踏まえる必要がある。当該の記事で示されたのはエビデンスなどない教師の見解。しかも、アウトカム目標の設定が妥当なのかどうかも疑わしい。

 昔なら、教師がやってることは子どものためになると無条件で信じられたのだろうが、今はそうではない。教師がやってることが子どもにとって有害であるような事例が次々と出てきている。そこで子どもの権利が主張されることになる。

 これは何も学校に限ったことでもなく、しかも日本に限ったことでもない。法学者の森田明さんは「未成年者保護法と現代社会」(有斐閣)の中で、「アメリカにおける子どもの人権論は、一九世紀末のchild saverたちの手で創出された法パターナリズムが二〇世紀後半に至って腐食して「慈恵的なおこがましさ」と化した時に、社会の根にあった自由・自律の伝統からの制度批判の結果生じてきたものである。」と指摘している。そして、そのような不信は、子どもの権利条約にも反映されたとも指摘している。

 「校則」に対し「子どもの権利」の側から批判が起きるのは、このような「保護への不信」が根っこにある。そのことを踏まえずに教師が何を言ったところで、信用ならない人間たちが何か言ってるよ程度にしか受け止められない(少なくともわたしはそうだ)。

たいていの人は、乗り物乗るのに事前連絡したくないみたいね。

 たまたま見つけたこのまとめ。

togetter.com

 乗り方がわからないのなら、バスに乗る数日前にバス会社に電話して教えてもらえばいいだけのことなんだけど、それはしない。で、バスを利用しない。ってことは、数日前に電話しなきゃいけない公共交通機関は、その機能を果たせないってことになりますね。なんか、特定の人相手には「数日前に連絡しろ」なんて言ってるようですけど、そういう自分が数日前にバス会社に乗り方教えてもらうための電話をしたくないのは棚に上げて、他人事だから言えるんだよ。

3分に一本電車が来る路線と、一日数本の汽車しかない路線では違うでしょ~障害者の鉄道利用の「事前連絡」

anond.hatelabo.jp

 おいおい、ちょっと待ってくれい。一日の利用者が数人の駅にまでバリアフリー設備を数億円かけて整えろなんて言わないぜぃ。路線の状況によって対応が異なるのはわたしは許容する。

 電車が頻発してて、時刻表いらずで待たずに乗れるような路線なら、さすがに事前連絡なしでもちゃんと対応してほしい。みんな時刻表いらずで待たずに乗ってるんだから、車いすを使う人も時刻表いらずで待たずに乗りたい。

 汽車が一日数本発着するだけの路線で、その路線を利用する人全員が時刻表をあらかじめ調べて予定を立てて乗ってるような路線なら、車いすの人も時刻表をあらかじめ調べて予定を立てて乗る前に連絡してほしいとなるのも仕方ない。

 要は、車いすを使ってる人もそうでない人も同じように乗れるようにしてほしいってこと。そして、車いすを使ってない人がどのように鉄道を利用しているかなんてローカル線と大都会の通勤路線では違うんだから、大都会の通勤路線で車いすを使ってない人がやってるようなことを一日数本の汽車しか通らないようなローカル線に誰も求めませんよ。

 列車ダイヤはニーズに応じて組まれている(はず)。待たずに乗れるダイヤを組んでる路線は待たずに乗れるニーズがあり、時刻表をあらかじめ調べないとおちおち乗れないようなダイヤを組んでるローカル線は時刻表をあらかじめ調べてもらっても構わない程度のニーズだってことでしょう。ニーズに応じて運行しているのだから、車いすを使ってる人のニーズにも差別することなく応えてほしい。そう言うことがそんなにわがままなのだろうか?

 目安として、「一本前」くらいが何となくすっと納得いく(わたしは)。希望の列車の「一本前」の時間までに連絡するのが落としどころではなかろうか。その基準で行けば、伊東線は昼間おおむね一時間に二本の頻度で運行。伊是名さんは30分前に小田原駅に申し出ているのだから、適切な時間に申し出たと言える。

※わたしはだいたいにおいて「鉄」なので、「汽車」なんて言葉を使いました。その方がおさまりがいいんだもん。

障害者が払わされる「特別通行税」

 車いすを使わない人が東京駅から来宮駅まで行くとしたら、これで行ける。

[山]山手線内 → 来宮
経由: 東海道,伊東
JR線(鉄道)営業キロ: 105.8km

普通片道運賃     :大人 1980円 小児 990円 学割 1580円
普通往復運賃     :大人 3960円 小児 1980円 学割 3160円
IC運賃(片道)     :大人 1980円 小児 990円
紙・ICのうち安い方  :大人 1980円 小児 990円

普通片道乗車券の有効期間は 1日です。

  車いすの人が東京駅から来宮駅まで行くとしたら、これが推奨されるルートになる。

[山]山手線内 → 来宮
経由: 東海道,タクシー
JR線(鉄道)営業キロ: 105.8km

普通片道運賃     :大人 2760円 小児 1770円 学割 2350円
普通往復運賃     :大人 5520円 小児 3540円 学割 4700円
IC運賃(片道)     :大人 2760円 小児 1770円
紙・ICのうち安い方  :大人 2760円 小児 1770円

普通片道乗車券の有効期間は 1日です。

  あああ、なんと不平等なことよ!なぜ障害者だけがこのような高い運賃を払わなければならないのか。説得的な理由を説明するのは非常に難しい。

ああ、鉄道の地域間格差よ

 増田でこんなの見つけた。

anond.hatelabo.jp

 何となく、気持ちはわかる。人口稠密で、電車に乗る人も多く、鉄道会社の儲けが多い地域に住んでる人は、それだけでも自身が有利な立場にある。安い運賃で、充実したサービスを受けられるから。自覚してないだろうけど。だいたいにおいて、そういう地域の地価は高いから住宅費も高くなる。その逆に、人口がそれほど多くなく、電車に乗る人もそこまでは多くない地域を走る鉄道会社は儲けも少ない。当然、運賃は高く、サービスもあまり充実してない。下手したら廃線の議論さえ出てることもある。そういう地域に住む人のことを考えたら、高い住宅費を払うだけの余裕があるのに、安い運賃で充実した鉄道サービスを享受してる人たちにもう少し多く負担してほしいよね。わたしは東武沿線に住んでいるけど、京王と比べたときの運賃の高さにはときどき泣きたくなる。さすがにサービス面では首都圏の鉄道会社としてそん色ない水準ではあるけど。