ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

不登校の理由を量的に知るのは、ほとんど不可能だ。

 昨日受け取ったとあるフリースクールの記念誌にも引用されていたこの記事。

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 NHKの調査は、調査対象者をきちんと抽出できてないなど、統計的に意味ある結果になってるとは言い難い。

 しかも、不登校真っただ中にいて混乱状態にある当人が、果たして冷静に回答できるか?との疑問がある。

  それに対して文部科学省の調査は、不登校の子どもの全員について調査しているので、調査対象者の選び方に疑問をさしはさむ余地は(ほとんど)ない*1
  じゃあひらのは文部科学省の調査を信じるのか!と言われそうだが、そうではない。文部科学省の調査には皆さんご存知の最大の問題があって、現場の教員が教育活動で得た情報をもとに回答している。もともと調査のために情報収集しているわけではないので、そこでバイアスが生じる。
 さらに、教師の目で見た理由なので、教師の目にバイアスかかっていたらどうしようもない。ある元教員は、長年の経験もある教師の観察を信用しないとは何事だと息巻いているが、そんなもの当てにならないのは精神疾患の診断基準なるものについて少しばかりかじってきた人間ならわかる。
  文部科学省は、過去2回、中学校の時に不登校だった方の追跡調査を行っている。その調査で、不登校のきっかけと続いた理由を聞いている。ところが、この調査も、回答率が低い。不登校だったころのあれこれを引きずっている人が、いきなり文部科学省から調査の依頼を受け取ったとして、回答できるはずもない。この調査の結果も、声を出すことができた人の回答と捉えるべきである。
  と、あれこれ考えてきた挙句、不登校の原因を量的に知ることはほとんど不可能であるとの結論に至る。質的調査なら可能だろうし、誰かやってほしい研究でもある。たとえば、教員が考えていた不登校の理由と子ども当人が感じていた不登校の理由の「ずれ」と、「ずれ」がどこから生じるのか、なんて研究を。

*1:学校が不登校の子どもの存在を過少報告する可能性はある