ふらふら、ふらふら

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自宅に浴室がない人々を、平然と切り捨てることができる人たち

 今でも、自宅に浴室がない人はそれなりにいる。やや古い調査だが、2014年時点で生活保護を利用している単身世帯のデータがある(生活保護受給世帯の居住実態に関する調査*1)。これによると、東京都で生活保護を利用している単身世帯のおよそ2割が、自宅に浴室がない。2018年7月時点の統計によれば、東京都内で生活保護を利用している単身世帯は18万世帯余り。少なくとも、3.6万世帯は浴室のない住宅に暮らしていることになる。かなり大きな数だ。

 ところが、自宅に浴室がない人のことなんて最初から考えもせずに、今は銭湯に行かないでほしいと語った医療従事者がいて、わたしは「自宅に浴室がない人はしばらく入浴するなってことですね」と返したら、あっさりブロックされた(既報)。

 この人は、自宅に浴室がない人のことを考えることを「拒否した」。自宅に浴室がない人のことなんてものの数に入らない、そんなところだろう。こんなにいともあっさりと特定の人たちを平然と切り捨てる医療従事者がいることが、あまりにもショックでならない。しかも、その人には万単位のフォロワーがいるんだが、誰一人としてそのことを指摘しない(あるいは指摘してもブロックしているのだろう)。自宅に浴室がない人のことなんて、死のうがどうしようがどうでもいいんだろう。パンデミックを克服した世界に、自宅に浴室をつけられないような低所得者など不要なのだろう。

 さて、こうして、特定の人たちを切り捨てるのは別に構わないとのコンセンサスがあることを確認したうえで、暴論。COVID-19の蔓延防止対策を講じる必要がどこにあるのだろう。特定の人たちを投げ捨てる医療従事者が現にいる。なぜ、あなただけは投げ捨てられてはいけないのだろう。お金を持ってるから?

 昨日、クルーズ船でSARS-CoV-2の陽性者が出たとのニュースに接した。自宅に浴室がない人さえいる、それどころか自宅を失った人さえいる、そんな中で、クルーズ船に乗れるだけの資金を持ってる人たちがいる。自宅に浴室がない人を切り捨てる医療従事者が見つかった日に、クルーズ船でSARS-CoV-2の陽性者が出たのは、非常に象徴的だ。