ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

若者の貧困は、高齢者の繁栄にとって危険である。

 高齢者福祉の話をするときに、この二つのグラフを無視することは決してできない。

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 いずれも、今進んでいる激烈な少子化を示すグラフである。どうして少子化が進んでいるか。当然のことながら、若者を貧困状態に置いてきたからである。第二次ベビーブーム世代が第三次ベビーブームを起こすかとも考えられたが、ちょうどそのころ就職氷河期に巻き込まれた結果、第三次ベビーブームは蒸発した。

 若い世代を踏み続ければ、やがて、高齢者を介護する手は足りなくなる。その結果が高齢者に戻ってくるのも当然である。いくら老後2000万を貯蓄していたとしても、その2000万円を介護サービスに引き換えてくれる人がいなければ、その2000万円は紙切れになる。

 そして、このパンデミック対策でも、主に影響を受けたのは若い人たち。こんなにも若い人たちを踏み続けてきた。その結果、今後数十年の人口の趨勢はそれほど大きくは動かない。「すでに」若い人たちをたくさん踏み続けてきた。その結果に直面するだけである。それこそ、文春オンラインに朝日新聞経済部が寄稿したような「ひどい」高齢者施設はこれからのニューノーマルになるだろう。人手不足なんだからしょうがない。アフターコロナの世界に適応できない事業者をゾンビ企業と切り捨て、焼け野原にして、それでも医療介護に資金を投じ続けるなんてのは無理なのだ。医療介護以外を焼け野原にして、医療介護分野に転職してくれる人が増えたなんてのをキラキラした口調で語る人は見かけたが、医療介護だけで経済を運営していくなんて不可能。それこそ、ILOフィラデルフィア宣言が指摘するように、「一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である。」あるいは、アメリカ合衆国元大統領であるバラク・オバマさんが大統領選の勝利演説で語ったように、「大通り(メイン・ストリート)が苦しんでいる時にウォール・ストリートばかりが繁栄できるはずがない」。このことを忘れずにいよう。横浜市が敬老パスに一部自己負担を導入してこども医療費助成を拡充しようとしたときに「礼儀を知らない若い親や子どもを援助するのは無駄だ」などと市役所に電話した高齢者がいたと言うが、こういう人たちこそが、「ワシだけが良ければ若い世代なんてどうでもいい」と考えてる人たち。そして、若い世代を捨てれば、やがて高齢世代も捨てられるのだ。