ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

通信制高校って、「そういうもの」でしょう。

 ダイヤモンド・オンラインがN高等学校の実情について報道した。この記事。

diamond.jp

 これに対し、角川ドワンゴ学園側も反論している。

nnn.ed.jp

 わたしは、角川ドワンゴ学園の言い分はもっともだと感じた。特に、角川ドワンゴ学園のリリースの次のような記述。

全日制の高校では、教師1人あたりの目標受け持ち数が40人となっており、それに比べると多いように見えるかもしれません。しかしながら、通信制高校の当校ではオンライン授業を取り入れており、教員が日々の授業を自ら行うわけではありません。教員の授業の担当は生徒1人あたり1年間に5日間程度のスクーリング時のみとなっております。

当校では担任する生徒の数は多くても、通常の授業を行わなくてよいことにより、一人一人の生徒と向き合える時間については、むしろ確保できていると考えています。

 通信制高校って、「そういうもの」でしょう。各種教材を使って生徒が自学自習し、その成果を教員が添削する。「そういうもの」なんだよ。N高等学校がある沖縄県が、各私立高校の生徒数と教員数を公表している。

www.pref.okinawa.jp

  これによれば、2020年のN高等学校の生徒は14,869人、教員は220人。教員1人当たりの生徒数は67人。全日制高校よりはずいぶん多いが、公立高校の基準よりは手厚い。公立の通信制高校の場合、生徒数1201人以上の学校については生徒100人につき教員1人が標準だ(公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律第9条、実際には校長や副校長の配置もあるので、この数字よりはほんの少しだけ手厚くなる)。通信制高校って、「そういうもの」なんだよ。

 むしろ、ここ20年くらい、通信制高校に過剰な期待をしてきた方がおかしかった。単に入学しやすい、ってだけのことなのに、さまざまな課題を抱えた生徒の行く先としてなぜか期待されてしまったり、その期待に応えようと「毎日通学コース」「全日型通信制高校」など、にわかに理解に苦しむような学校が設置されてきた。

 神奈川県高等学校教育会館教育研究所の所誌「ねざす」の第37号*1に、同研究所の研究院の大島真夫さんが「定時制進学者をめぐる問題 05年度研究所独自調査補論 1」と題する文章を寄稿している。そこから引用。

 そもそも、 低学力の生徒を定時制が引き受けるという仕組み自体、 妥当なのかどうか疑わしい。 全日制への進学を希望しているにもかかわらず低学力だと定時制に行かなければならないのはなぜなのか。 この問いに対して説得的な解答をするのは、 現時点では難しいのではないか。 少なくとも、 「定時制を志願することが主体的な進路選択の一つである」 という理想からは遠くかけ離れた仕組みであることは間違いない(7)。 学力がない生徒をどこがケアするのかという観点から、 選抜の仕組みが論じられるべきだろう。

 これとまったく同じことが通信制高校にも言える。