ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

「政府のいいなりになる子ども」を育てる「教育再生」~「掃除で心は磨けるのか」感想

引き続き、この本を読んだ感想。

https://www.amazon.co.jp/dp/4480016805

著者の杉原さんが、「これ、おかしいぞ」と感じた「教育再生」への取り組みが紹介されていく。そうして、それらの取り組みがめざしているものが像を結ぶ。以下引用。

規律正しい子どもが大人になれば、犯罪は減り、「早寝早起き朝ご飯」で生活習慣病にもならず、困っていても政治に不満を言わず、ひいては社会の安定につながる。子育ても介護も家庭内で行えば、福祉予算を拡充しなくて済む。個人より国が大切だと教えれば、いざという時は、国のために命を投げ出してくれるかもしれない。

政府や企業にとってだけ都合がよい、都合が悪くなったら使い捨て出来る「人材」に「加工」して「生産」しようとしているように思えた。

ただ、政府の言いなりになるのが当たり前ってのは、この国の人々にとっては割と当たり前のように浸透していて、だから政府の言いなりにならないものに不当に攻撃することも平然と行われる。これは、左右のイデオロギー関係なくとても怖いことだ。

そういう動きを(一部かもしれないが)取材して、報告して、その先にあるものをはっきりと描いて見せている本書は、読みやすいけれどとても読みごたえがある。

そういう状況でも、自律した市民としてオルタナティブを突き付ける人々の姿が、本書の最後の方に紹介されている。そういった人々の姿に、わずかばかりの希望を見た。そのような動きが、もっと大きく広がるといい。

最後に、この本の著者・杉原里美さんがシノドスのインタビューに答えているので、ご紹介。

https://synodos.jp/newbook/22936