ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

「外国人」「若者」への憎悪を正当化する「道徳教育」

この本を一気に読んだ。

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道徳教科書の検定で、「パン屋」を「和菓子屋」に変更、「しょうぼうだんのおじさん」は「感謝の扱いが不適切」として「しょうぼうだんのおじいさん」に変更。そんな事例が紹介されていた。「我が国や郷土の文化と生活に親しみ,愛着をもつこと。」や「家族など生活を支えてくれている人々や現在の生活を築いてくれた高齢者に,尊敬と感謝の気持ちをもって接すること。」といった項目に照らして問題があったからだとのこと。

そんな記述を読んで、ものすごく嫌な感じを覚えた。「日本こそ第一」だとか「高齢者は無条件に偉い」と、教え込んでいるように見えて。

残念ながら、外国人や若者への憎悪、それによる暴力はすでに発生している。自分自身身をもって体験したし、なんならYouTubeにアップロードされている動画を例にしてもよい。「外国人の」「若者」となれば、何をしてもいいと思っている高齢者は(ごく一部とはいえ)確実に存在していて、そういう高齢者に媚びるように学習指導要領が改定されたと読んでしまう。高齢者には感謝するべきだから、高齢者に殴られても我慢しなさいとか、日本は素晴らしいんだから高齢者の気にくわないことをやってる人間は在日に違いないとか。

外国人に限らず、高齢者による若者世代への憎悪と暴力は、これまでも数々の場面で起きてきた。東京都知事だった石原慎太郎氏による「青少年・治安対策本部」なる部署の設置という形で表れたことはあったし、暴力的支援団体なるものが脚光を浴びているのも高齢世代による若年者への暴力と言ってよい。けしからん存在であるひきこもりの若造を、山奥の施設に無理やり連れ込んで農業させて叩きなおすというストーリーの番組がいくつ放送されたことか。そういう番組を見ているのも、おそらくは高齢世代だったりするわけで、形を変えた高齢世代による若年世代への暴力と言えよう。

ひきこもり暴力支援施設、どういうわけだかひきこもりの子どもを対象にする施設ばかりで、パートナーに暴力を振るう中高年を対象にその手の「支援」をする施設がないのもいい証拠だ。

そこまで考えてみると、特別の教科として「道徳」が位置付けられたこと自体も、若年者に対する憎しみがあったとも思えてくる。

道徳教育のカリキュラムなるものを見ていると、どうも、若者と外国人への憎悪と暴力を正当化するように見えてならない。