ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

学校・教育のこと

着用自由の制服なるものから見る、若者の学校依存

公立の通信制高校では制服を設定する学校は皆無だが、私立の通信制高校では制服なるものを設定している学校が目立つ。制服なるものを設定している学校であっても、登校時の服装は自由としている学校もこれまた目立つ。登校時の服装が自由だというなら制服な…

学校以外の「居場所」がないことの問題

昨日に引き続き今日も喜入克氏の論を取り上げる。題材は氏の以下のブログ記事。 blog.livedoor.jp 喜入克氏が教務主任を務めていた高校で、生徒指導担当の教師から、生徒の放課後の校内での過ごし方をルール化したいとの要望が出てきたときのことが記されて…

携帯にのめり込んでいる高校生が問題だからって、規制すれば一丁上がりではないぞ

喜入克著「高校の現実:生徒指導の現場から」(草思社,2007.3)から。 部活動や勉強、行事に没頭していて、ある程度家が裕福なら小遣いも出してくれるから、携帯代もその範囲で収まるとのこと。その逆に、部活動や勉強、行事に没頭できない高校生は携帯代のた…

「学校の部活動」そのものが持っている矛盾を突き付けた麹町中の一件

朝日新聞が報じたこの一件。 digital.asahi.com この記事にはヒップホップが学習指導要領解説に示されていることなど、「ヒップホップを学校部活動で行うことの正当性」を述べた一節がある。これは麹町中校長が「ダンス部は運動部なので公式の中体連(日本中…

くじで大学進学者を選抜する方が公正なんじゃないでしょうかね(皮肉)

このまとめに対する反応の続き。 togetter.com 「地方」の「女性」が慶応大学に進学してくるまでには、「地方出身」であることと「女性」であること、二つの困難を乗り越えなければならない。「東京出身」の「男性」には認識できない実情がある。「家庭の経…

慶應義塾大学の食料支援、女子であるというだけで大学進学に不利であることの手当だってば

はてなブックマークに書くには長すぎるからこっちに書きますけど、貧富の軸のほかに女男の軸、地方在住・首都圏在住の軸があって、「貧」はもちろんのこと「女」「地方在住」も慶応義塾大学進学に当たって不利な属性になる。「女の子をわざわざ東京に出す必…

「多様な学び」=うどん屋が、定食屋を増長させている

この記事を読んで。 hyouryu.hatenablog.jp これ、定食屋が「うちの店はあなたみたいな人が入れる店じゃないです、そこのうどん屋でうどんを食べられますよ。うどんが食べられればいいでしょ?」「うどん屋が高すぎるなら家でありあわせのものでも食べたら?…

教育の機会均等とは?:埼玉県の県立高校エアコン設置

埼玉県は県立高校の普通教室のエアコン設置について、ずいぶん長い間PTAや同窓会の費用負担で設置するものとしていた。2018年に方針を転換し、県の予算で設置するように予算措置を行った。この時点でエアコンが設置されていなかったのは児玉白楊、岩…

PTA未加入者の卒業記念品―「債務不履行リスク」を考えると。

この記事。 mainichi.jp まあ、いろいろギスギスしているなあ、せせこましいなあとは思った。PTAってのはその学校に通うこどもすべてのことを考える組織なんだから、保護者が非会員だからと区別することなく卒業記念品を贈与したらいいじゃないですか。PTA会…

命は数字で数えてはいけませんよ

「自死するこどもの数よりも不登校からひきこもりになるこどもの数のほうが多い。こどもが自死することは考えなくていいから不登校からひきこもりに至ることを防止することを考えたほうが良い」との意見を、以前どこかで読んだ。現役教員か、教員経験者だっ…

スクール水着姿になるように命じることの権力性、あるいは暴力性

おそらく男子による女子の品定めの場になるだろう男女共修水泳授業 あいつの紅茶を飲んだのならばオレの紅茶も飲めよーそして教師の行為は専横と偽善に堕した 余談 発端は下の記事。 kite-cafe.hatenablog.com おそらく男子による女子の品定めの場になるだろ…

定時制・通信制課程の高校についてのわたしの立場

定時制・通信制課程の高校について、わたしはつまるところ次のようなことが言いたいわけだ。教育の機会均等とは、こういうことだ。以下、文部省学校教育局が1947年に出した「新制高等学校実施の手引」より。この文書では通信制課程については言及されていな…

本来なら問題ない、はずだが

この記事。 shueisha.online 記事中で、通信制高校の教員は「君は全日制で大丈夫だろと思うような子が、全日制を受検することなく通信制に来るのです」とコメントしていた。わたしに言わせれば、そのように問題視すること自体が問題だ。 制度趣旨からすれば…

「普通の高校」をめぐる交錯した言説

定時制や通信制も全日制と同じ「普通の高校」であるとの言説と、成人が全日制に行くのはとんでもない!定時制や通信制にしなさいとの言説が交錯している。この二つの言説は、わたしには矛盾しているように見える。定時制や通信制が、全日制と同じ「普通の高…

学校の隠れた機能・「あそび」「居場所」

この記事にはてブしようとしたが、どうしても文字数が100字に収まらなかったのでこっちで書く。 kieth-out.hatenablog.jp 別の角度からコメントする。夏木智さんが、「誰が教育を殺したか」(日本評論社、2006年)で「あそび」「居場所」と呼んだような機能…

ゼロ・トレランスと訴訟社会

はてなブックマークに書くには長すぎるのでこちらで。この記事。 kite-cafe.hatenablog.com わたしは、この「ゼロ・トレランス」方式は、一定の条件があれば、そんなに悪くない方式だと考える。 ゼロ・トレランスの発祥であるアメリカは、ご存知の通り訴訟社…

通信制高校に、「手厚いサポート」をする資源はない「はず」。

NHK学園が決算についてWebに公開しているのを発見した。*1 そこで、全日制課程のみを置く都内の高校で決算報告を出している学校を探して、専修大学附属高校のものを見つけた。*2 両校の決算を比べると、通信制高校がいかに限られた財源で教育活動を行…

今年の全国学力・学習状況調査の結果を読んで、気にかかったところ

いつの間にか今年の全国学力・学習状況調査の結果が公表されていた。都道府県・市区町村ごとの学力ランキングにしか関心のない人も多いこの調査。質問紙調査もあって、子どもの生活の状況などについての調査もされている。質問紙調査の結果と、学力調査の平…

学校の制服によって隠せる貧富の差とはいったいなんなのか

本題を始める前に注意書き。この記事で、「貧困」とは、暮らしぶりをよくする実質的な自由が損なわれた状態(アマルティア・センさんが言う「ケイパビリティの欠如」)を言う。低所得はこの記事で言う貧困に含まれるが、貧困とはこれに限られるものではない…

通信制高校は買われ過ぎた

文部科学省が、「「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議」を立ち上げた。その第一回の議事録が文科省のサイトにアップされていた。 www.mext.go.jp 目を引くのは、早稲田大学人間学術院教授の森田裕介さ…

フリースクールのほとんどは社会教育法に言う社会教育関連団体。ってか、社会教育法忘れてません?

社会教育法によれば、「この法律において「社会教育」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)又は就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)に基づき、学校の教育課程として行われる教育活…

大学は"コンテンツ"じゃない

はてブに書くには長すぎるのでこっちに。ここのところの大学のオンライン化には、少なからず違和感を覚える。大学ってWeb配信できる"コンテンツ"だったっけ?と。大学って、学生が自律的に学ぶ"場"だったのでは?Web配信で、今までの大学が作り出していた自…

通信制高校が「手厚いサポート」「多様な教育」を謳っているのはおかしくない?

「僕は僕でよかったんだ」(奥地圭子・矢倉久泰著、東京シューレ編、東京シューレ出版)を以前読んだ。その時引っかかってて、今も引っかかってる部分がある。その本に、東京シューレ発足以降発刊までの教育の歴史に触れた部分がある。その中に、通信制の枠…

通信制高校って、「そういうもの」でしょう。

ダイヤモンド・オンラインがN高等学校の実情について報道した。この記事。 diamond.jp これに対し、角川ドワンゴ学園側も反論している。 nnn.ed.jp わたしは、角川ドワンゴ学園の言い分はもっともだと感じた。特に、角川ドワンゴ学園のリリースの次のような…

東京の高校定員は男女不均等である。

毎日新聞がスクープした。 mainichi.jp これはこれで問題なのだが、その背後にあるのは、東京都内の高校の定員が男女不均等であることなのだ。東京都生活文化局のリリース。 www.metro.tokyo.lg.jp 東京都内の私立高校の募集定員(2021年入学者)は、女子校…

「子どものための保護」への不信

はてブで書くには長すぎるので、こっちで。 air.ap.teacup.com そもそも、教師が子どものためにと思ってやってることそれ自体が信用されなくなっていることを踏まえる必要がある。当該の記事で示されたのはエビデンスなどない教師の見解。しかも、アウトカム…

なんで校則がアングラ情報扱いなのよ

anond.hatelabo.jp 増田にも書いちゃったんだけど、公立高校の場合、その高校を設置している自治体の教育委員会に情報公開請求すれば校則は出てくる。なんなら教職員の間での申し合わせ事項も出てくる。わたしはかつてやったことがある。教職員の間での申し…

「スペシャルスクール」に通う子どもの数は、大幅に増えている

以前、このような記事を書いた。 syou-hirahira.hatenablog.com スペシャルスクールに通わせないことを「教育虐待」と呼ぶことに異を唱えた。そのあと、「スペシャルスクール」に通っている子どもの数がこの25年でどれだけ伸びたか、ちょっと調べた。その数…

なぜにスペシャルスクールでなければいけないの?

少し前にこの記事を読んだ。 知的障害児を通常学級へ これも親の行き過ぎた「教育虐待」ではないのか | オトナンサー親が子どもに課す、行き過ぎた教育を「教育虐待」と呼ぶことがあります。障害のある子の学校選びでも、それが起こり得ると筆者は考えていま…

「多様な学び」ではなく「多様で平等な居場所」を

「多様な学び」、字面はいい。その子どもに合った多様な学びの場が選べるのは、よいことに見える。だが、それは「身の丈に合った教育」と、例の文部科学大臣の発言を容認しかねない危険なものでもある。 では、みんなが学校に通うようにしましょう、学校に通…