ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

2024-01-01から1年間の記事一覧

「化学物質過敏症」をもつひとへの合理的配慮を論じるとき、医学的説明は最良の根拠ではない

ずいぶん前に「化学物質過敏症」について論じたことがあった。あのときは「医学的根拠」をめぐってさんざん対立した覚えがある。今ブログを読み返すと、当時のわたしの浅はかさがあからさまに出ていて恥ずかしい(ので下書きにした)。 SNS、それこそThreads…

あなたにとってこどもが迷惑なら、こどもを育てるか迷っているひとにとってもこどもは迷惑

子育てをめぐっては「親の責任」がやたらと強調される。例えば、店舗における子連れお断りを正当化する理屈として「自分の意志でこどもを産むのだからしばらく行動が制約されるのは覚悟するべきだ」「こどもとの住み分け」などと。 まあ、こどもの存在を「迷…

「救急車有料化」の目標は?

救急搬送の増加を受けて、各地で救急車で搬送された軽症患者から追加の料金を徴収しようとの議論が行われている。その先駆け、三重県松阪市は、この取り組みの成果を発表している。 www.city.matsusaka.mie.jp 曰く、「救急搬送され、入院しなかった方(帰宅…

東京にひとが集まりすぎなんだってば

Threadsでの投稿。朝の山手線に妊娠した女性が乗ってきて、大きな声で押さないでくださいと叫び続けていたとのこと。その投稿に対し、妊娠しているんだから時差通勤するなり休業するなりしなさいよとの辛辣な声が飛んでいた。 ことはそんなに単純ではない。…

舞台上の「夜学バー」に入ろうとは思ったんだけどなー

「劇団夜学バー」、夜学バーを舞台に再現という触れ込みだった。「劇」だから普段とは違うところはあれど。夜学バーだけど劇。その、なんだかあいまいな空間に期待していた。「劇」だから、舞台上のバーに入っちゃおうかと。 ところが、舞台上のバーに入るか…

今夜、わたしは「服従」した。

劇団夜学バーの演劇を観に行った。事前の触れ込みは、普段の夜学バーを舞台上に完全再現、観客も舞台に上がってバーの客として演劇に出られるというものであった。詳細はこちら。 ozjacky.o.oo7.jp 最初のうちは演者がただ遊んでいるだけに見えた。ときどき…

生命倫理や尊厳をすっ飛ばしちゃダメでしょう

おいおい。 これが現実。今の日本に高齢者を長生きさせる余裕はない。自分も変に長生きするぐらいなら尊厳死して人生を終わらせる覚悟。それが若者のためになるわけですし。日本が裕福だったら長生きさせても良いけど今は貧困国。そういう時代にした政治家は…

ロブ@大月「リストカットシンドローム」4章を読んで改めて衝撃を受ける

ロブ@大月(2000)「リストカットシンドローム」ワニブックスの4章、「そして少女は死を選んだ」を読む。この本はかつて読んだが、最近また読んだ。 小学校では廊下で給食を食べさせられる。 中学校では私服登校するも、NHKが報道した途端に校長が「うちの…

鉄道がくれた出会い

2012年夏のこと。当時かかわり始めたNPO法人のひとから、「夏にどこか出かけたいなら北海道行こう」と誘われた。その時、わたしはひきこもり生活から抜け出し始めたばかりのころで、とても北海道になど行けそうもなかった。時刻表を買って来て、北海道&東日…

「誰に、何を保障するか」の検討が抜けている小野昌彦氏の論

小野昌彦(2017)「不登校の本質ー不登校問題で悩める保護者の皆さんのためにー」風間書房を図書館で借りてきて冒頭部分だけ読んだ。そして頭が痛くなって読むのをやめた。 小野昌彦氏に言わせれば、不登校状態を放置するのは契約不履行だという。保護者が学…

自動車の傲慢さにうんざり

Threadsのこの二つの投稿。 www.threads.net www.threads.net 一旦停止を守らない自動車を厳しく取り締まるように警察に申し入れるのでもなく、道路で球戯をしている高校生を学校に通報するのか。一旦停止を守らない自動車は「道交法でしっかり取り締まれる…

「車社会化」は住民が選んだことではないか

「地方は公共交通が不便だから車を使わなければ生活できない」とはよく言われる。とはいえ、「地方=公共交通がない」との図式が成り立つのをまるで自然現象かのように語るのには異を唱えたい。 地方といえど、都市部もあれば農村部もある。農村部で公共交通…

「悪いことをしてないからマイナ保険証で問題ない」じゃないってば

仮に、様々な個人情報が、本人の意思による取捨選択と無関係に名寄せされ、結合されると、本人の意図しないところで個人の全体像が勝手に形成されることになるため、個人の自由な自己決定に基づいて行動することが困難となり、ひいては表現の自由といった権…

スダチ代表の主張するようなスマホによるSNS使用や動画視聴の時間と学力の間の因果関係は、証明されていない

議論が盛り上がった不登校支援業者「スダチ」。この「スダチ」の代表である小川涼太郎氏の著書「不登校の9割は親が解決できる」(PHP研究所、2024年)を読んでいた。科学的リテラシーをフル活用して疑いの目で見るとあちこちに疑わしい記述があるが、今回は…

子育て中の親や障害のあるひとを排除する横暴さ~「人間のめんどくささ」と無関係でいようとする社会

Threadsを何となく流して見ていた。そうしたら気になる投稿が。こどもが二人いて、かき氷一つは食べきれないから二つに分けてほしいと希望するお客さんがいたという投稿があった。その投稿への別のひとの反応で、それならスーパーでアイスを買えばいい、何な…

市場化する東京の都市空間

このまとめに対する反応。はてブにするには長かったのでこっち。 togetter.com 昨年書いたこの記事で言った通りのことをこのまとめに対しても考えている。 syou-hirahira.hatenablog.com あらゆる空間が市場化されて、市場競争で敗れたひとは容易に排除され…

「表現の自由戦士」たちは自らが広めてきた「呪いの言葉」をかえりみよ

2005年夏のコミックマーケットでのできごと。出店した移動販売車で働いていたアルバイトの女性が、コミックマーケット参加者を「気持ち悪い」と述べる日記をWebに公表した。どういう経緯で広く知られるようになったかは不明だが、とにもかくにも広く…

着用自由の制服なるものから見る、若者の学校依存

公立の通信制高校では制服を設定する学校は皆無だが、私立の通信制高校では制服なるものを設定している学校が目立つ。制服なるものを設定している学校であっても、登校時の服装は自由としている学校もこれまた目立つ。登校時の服装が自由だというなら制服な…

「萌え絵」擁護の背景にある価値観が、そのまま中高年男性への「呪いの言葉」になった

「おじさんなるもの」ねぇ。 anond.hatelabo.jp 「表現の自由戦士」たちが擁護してきた萌え絵・性表現の背景にある価値観をそのまま「おじさん」の価値を計るのに使っただけでしょう。表現の自由戦士たちに言わせれば、ひとは値踏みされるのが当然だったんだ…

学校以外の「居場所」がないことの問題

昨日に引き続き今日も喜入克氏の論を取り上げる。題材は氏の以下のブログ記事。 blog.livedoor.jp 喜入克氏が教務主任を務めていた高校で、生徒指導担当の教師から、生徒の放課後の校内での過ごし方をルール化したいとの要望が出てきたときのことが記されて…

携帯にのめり込んでいる高校生が問題だからって、規制すれば一丁上がりではないぞ

喜入克著「高校の現実:生徒指導の現場から」(草思社,2007.3)から。 部活動や勉強、行事に没頭していて、ある程度家が裕福なら小遣いも出してくれるから、携帯代もその範囲で収まるとのこと。その逆に、部活動や勉強、行事に没頭できない高校生は携帯代のた…

「学校の部活動」そのものが持っている矛盾を突き付けた麹町中の一件

朝日新聞が報じたこの一件。 digital.asahi.com この記事にはヒップホップが学習指導要領解説に示されていることなど、「ヒップホップを学校部活動で行うことの正当性」を述べた一節がある。これは麹町中校長が「ダンス部は運動部なので公式の中体連(日本中…

男性の性的欲望の対象となることが女性の第一の存在価値であると位置づけることのえげつなさ

X(旧Twitter)で炎上しました。きっかけはこのツイート。 いつも不思議なのは、「表現の自由」を言う人たち、男性器表現の自由を求めて闘うことはしないんですよね。女性の裸体を表現する自由さえあれば満足しちゃうみたい。「表現の自由」なる言葉…

相続ビジネスの疑惑~診療報酬と比較するとよりおかしな金額に見えてくる

今年改正された診療報酬点数表によると、30分以上の精神療法を精神保健指定医が行った場合、再診料75点に通院精神療法410点、薬の処方をした場合はさらに60点、明細書を発行すると1点、合計546点。1点10円なので、金額にすると5,460円。医学部6年通って、…

「責任」って、なんの責任?ロジックをはっきりさせよう

このはてなブックマークを見て違和感はますます大きくなる。 b.hatena.ne.jp このブックマークで「謝罪」「責任」と言っているひとは、郡司真子さんに一体何について「謝罪」が必要であると考え、どのような「責任」があると考えているのだろうか。そこがは…

日本国憲法施行77年、法の支配は日本に根付いたか?法の下にすべての者を平等・対等に置いているか?

日本に「法の支配」なる概念が持ち込まれてからもう77年になろうか。日本国憲法が施行されてから77年経過しているので、少なくともそれくらいの長い歴史はあるはず。ところが、相も変わらず法の支配の概念は日本には根付かない。刑事訴訟では国(検察側)の…

冤罪被害を増幅させた「匿名の存在たち」

草津町にて起きた、性加害のでっち上げ事件に関する反応である。今回、「フェミニスト」なるわかりやすい敵がいたものだから、ワーッと皆で「フェミニスト」に攻撃が向かっている。その前には「フェミニスト」と呼ばれるひとたちが激烈な抗議活動を行った事…

草津町長に対する性加害でっち上げに加担したあやまちを懺悔します

群馬県草津町長である黒岩信忠さんへの性加害でっち上げに加担したあやまちを、草津町長である黒岩信忠様、草津町の住民の皆様に対し懺悔いたします。 わたしのあやまちは、ろくに調べることもなく、ただ一方の言い分をうのみにしたことにありました。ほんの…

【リリース】今後、訴訟事件の呼び方を変えます

草津町長の黒岩信忠氏に対する性加害でっち上げ事件に関して、わたしも反省しなければならないことは多々あり、そのことについては日を改めて書く。そのことに関連して、訴訟事件の呼び方を「国が大川原化工機の役員らを相手取って起こした刑事訴訟」のよう…

学校におけるゼロ・トレランス考その2

ブログの手入れをしていたら、過去の記事が出てきた。その過去の記事では、とある方のこの記事を引用していた。 kite-cafe.hatenablog.com この方は、さらに、別のところで、こんなことも書いている。 道路交通法の条項が多すぎて困ると嘆くのは免許取得のた…