ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

人が悪いのか?ウイルスが狡猾なのか?

政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が示した見解が、一部で波紋を呼んでいる。「感染拡大の責任を若者に押し付ける気か」と。

別に専門家会議は若者を責め立てるようなことは書いてなくて。若者は本当に軽い症状の場合が多く、気づかない間に感染を広げていると考えられると言ってる。原文を引用する。

これまでは症状の軽い人からも感染する可能性があると考えられていましたが、この一両日中に北海道などのデータの分析から明らかになってきたことは、症状の軽い人も、気がつかないうちに、感染拡大に重要な役割を果たしてしまっていると考えられることです。なかでも、若年層は重症化する割合が非常に低く、感染拡大の状況が見えないため、結果として多くの中高年層に感染が及んでいると考えられます。

そして、「全国の若者のみなさんへ」として、次のようなことを呼び掛けている。

10代、20代、30代の皆さん。
若者世代は、新型コロナウイルス感染による重症化リスクは低いです。
でも、このウイルスの特徴のせいで、こうした症状の軽い人が、
重症化するリスクの高い人に感染を広めてしまう可能性があります。
皆さんが、人が集まる風通しが悪い場所を避けるだけで、
多くの人々の重症化を食い止め、命を救えます。

以上、出典はこちら。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html

このことをもって、若者を悪者のように扱うのは、とても危険なことだ。若者が悪者扱いされているという反発を呼ぶ可能性も含めて。あくまでもこのウイルスの狡猾さを表すものであることを忘れないようにしたい。

わたしたちは、HIV発見当初、ゲイの人たちに強烈な偏見を持って接したことを思い出さなければならない。ゲイの人たちにAIDSの発症が多かったために、「ゲイ関連免疫不全」なんておどろおどろしい病名までつけていた。そして、あろうことか、ゲイの方たちを差別する口実として、HIVが持ち出された。今でも、そのような烙印は決して消えてはいない。未だに、HIV感染判明をショックにして自死する方はいる。

ゲイの方たちの行動パターンが悪いのではなく、ウイルスにとってゲイの方たちの行動パターンがとても居心地の良いものだったということにすぎない。撲滅するべきはウイルスであって、ゲイの方たちではない。その点、治療が近年格段に進歩して、良好にコントロールできている人はもはや性交ではHIVを感染させないと判明したのは、とてもポジティブなニュースだ(でも、性交によって感染する病気はほかにもたくさんあるから、コンドームの使用など適切な予防は欠かせないですが)。

再び、COVID-19の話に戻る。ウイルスを撲滅できれば方法は何でもよくて、ただ今一番割がいいのは若者が風通しの悪い人が密集する場所を避けることであるというだけである。ライブハウスでライブをするのが悪いわけではなく、ウイルスを撲滅するのにはそういう場所を避けてもらうのが効率が良いだけのこと。若者が悪いわけではなく、若者を叩いたりするのは間違っている。ここで若者を悪者扱いするとか、悪者扱いされていると感じて反応を始めるとか、そんなことになれば、わたしたちがHIV流行当初から今まで続けている重大な失敗を再び繰り返すことになる。

ただ、昨日も書いたけど、若者がライブを中止することによって、すべての人がメリットを受ける。であるから、ライブを中止することによる損失も、すべての人が広く負担する必要がある。これは、本来なら悪いことではないことを、国や社会のために大所高所の観点から中止してくれた人への当然の償いと考えてほしい。「若者の皆さん、ウイルス撲滅に協力してくれてありがとうございました。損失は社会全体で負担しますから」と政府が方針を決めるだけで、若者を悪者扱いする風潮を一気に取り除くことができる。

【追記】

ウイルスとの戦いの最前線にいた、武漢市からの帰国者に暖かい応援をしてくださった勝浦市のみなさん。このような市民が少なからずいたことは、大いに称賛され、また、人の善意の祝福されるべき一面である。

https://www.youtube.com/watch?v=FmLI5Z0nHbo