録画しておいたNHKスペシャル「忘れられた戦後補償」を見た。この番組。
元軍人にはそれなりの補償をするのに、空襲の被災者など民間人の補償はしないできたことが描かれている。元軍人への補償は総額で60兆円を超えているのだという。あまつさえ、補償を求めた民間人には誹謗中傷の手紙すら送り付けられたという。一部が紹介されていた。
「生きているだけでもありがたいと思え」
「戦争で苦しんだのはお前たちばかりではない」
「国家の責任にし金をせびり取ろうとする浅ましい乞食根性」
「欲張り婆さん今さら何を言っている」
「そんなに金が欲しいのか」
と、こんな誹謗中傷の手紙が送られてきたのだという。
ここまで書いていて、わたしは嫌でも思い出させられた。「自粛」を求めつつ、ひたすら補償を拒んだ政府を。スポーツ関係の催しにはコメントしたのと対照的に、文化関係の催しには一言も触れなかった首相記者会見*1を。そして、次のツイートを。
「中止は正しい」とか「自粛しないと悪」とかそうじゃないんだよ。自粛の筈なのにもう強制になってる事自体が怖いんだよ。今日も個人イベンターの女の子が30万くらいの借金背負ったよ。悪とか正しいじゃなくて、優しいから中止したんだよ。その子、普通の女の子だよ?中止したよ?もうそれでよくない?
— 篠塚将行(それでも世界が続くなら) (@sino_sstn) 2020年3月1日
なんでこんな簡単なことがわかんないんだよ。電話するたびに毎日「わかんない」「怖い」って泣いてたよ。普通の20歳の女の子が1週間後に30万当日一括支払いの借金背負う現状なんて判断できるかよ。コロナは憎いよ、でも今あの子を泣かせてんのはコロナだけじゃねーだろ追い討ちかけてるお前らだろうが
— 篠塚将行(それでも世界が続くなら) (@sino_sstn) 2020年3月1日
このツイートには、例えばこんなリプライがつけられていた。
成人成り立てとか関係ない自分が興行するならリスクアセスメントを考えてなかった過ちです!コロナ発生報道から随分経ちました判断が遅れるとこうなるどんな職業でもコロナ以外でもリスクアセスメントしないで仕事する会社はない!まず安全対策してから仕事順番を間違えた結果!リスクアセスメント!
— akiyuki (@akiyuki1976) 2020年3月2日
空襲被害者に誹謗中傷浴びせた人たちと何も変わらないような礫が、今年もまた投げられた。変種としては、こういうツイートも。
実行するのも中止するのも
— いとしん a.k.a 静岡西部のポンコツ (@04keya) 2020年3月1日
この状況とタイミングと気持ちをしっかり見計らって行動出来る。
そんなイベンターが格好良いと思います。
あまりよくわかってないのに発言して申し訳ありません。
— いとしん a.k.a 静岡西部のポンコツ (@04keya) 2020年3月1日
30万円という多額を背負って悔しい思いをしてでも中止にすることを決断したこと自体が優しいと言うか凄いというか 乗り越えざるをえない事かもしれないけど乗り越えようとしてること自体が格好良いと思い発言させて頂きました。
大いなる犠牲を負うことになってしまった人たちをたたえ、感謝し、それだけで、現実に負った犠牲については「自助努力」で何とかしろという。その点において、このツイートと、空襲被害者に寄せられた誹謗中傷の手紙が言っていることは、まるでコインの裏表。