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日本聖公会が、ソーシャルグッド業界よりも20年早くに知った、ハラスメントをもみ消す「構造」

 日本聖公会の京都教区に所属するある教会で、性虐待事件が発生した。被害者は、教区に訴え出たものの、教区はその訴えを無視した。被害者は最終的に裁判を起こし、加害者である牧師の不法行為を認める判決が確定した。その後、日本聖公会京都教区は、なぜ教区が被害者の訴えに耳を傾けなかったのか、報告書を発表した(下記リンク)。

https://www.nskk.org/kyoto/houkoku/index.html

  この報告書の一節「5-1-3.H元牧師と聖職委員のあり方」に記述された事実は、その後「ソーシャルグッド業界」で起きた数々のハラスメント事件でも見られた構造だ。日本聖公会京都教区のこの事件は、ソーシャルグッド業界で起きた事件を先取りしたかのような事件であった。

 その中でも、特にわたしの目に止まった記述を、引用して締める。

S司祭は、もともとH元牧師のことを強く信頼しており、匿名の電話でH元牧師に関することを聞いていた(4月2日参照)が、そのことには常置委員会で触れなかった。
S司祭は、被害訴え書の内容にまず大きな衝撃を受けたが、被害者Aさんの心情に思いを致す前に、「H司祭がこんなことをするはずがない」との思いが強く、また、H元牧師の情報操作に支配され、「困難な状況に陥った元牧師を救わねば」、「自分が護らねば」と言うひたすらな思いで動き始めた。S司祭によれば、常置委員会で「調査委員会を」という提言を行ったが、「H元牧師がもう認めているのだから」ということで、それが取り上げられなかったこともあって、積極的に弁護士に助言を求め、その助言にもとづいて、精神科医にH元牧師を伴い、被害訴え書を持って受診している。この行動は、本人は自覚していなかったかもしれないが、H元牧師の潔白を証明して貰うためと、被害者Aさんの精神状態について疑いを持つ材料を得たかったのではないかと思われる。