ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

教育の機会均等とは?:埼玉県の県立高校エアコン設置

 埼玉県は県立高校の普通教室のエアコン設置について、ずいぶん長い間PTAや同窓会の費用負担で設置するものとしていた。2018年に方針を転換し、県の予算で設置するように予算措置を行った。この時点でエアコンが設置されていなかったのは児玉白楊、岩槻北陵、大宮中央、鳩山、越生小鹿野、春日部工業の7校であった。この7校のうち、大宮中央高校は定時制通信制の独立校で、通信制の生徒のほうが多い学校だ。財政基盤がしっかりしたPTAや同窓会組織があるとは考えにくい。結果として、埼玉県の方針は、シビアな状況にある生徒が多いであろう通信制課程の高校をエアコン未設置のまま放置することになった。教育の機会均等ってなんだったんだろう、通信制課程の生徒への放置っぷりがすごいとかいろいろ考えてしまう。

PTA未加入者の卒業記念品―「債務不履行リスク」を考えると。

 この記事。

mainichi.jp まあ、いろいろギスギスしているなあ、せせこましいなあとは思った。PTAってのはその学校に通うこどもすべてのことを考える組織なんだから、保護者が非会員だからと区別することなく卒業記念品を贈与したらいいじゃないですか。PTA会費も贈与ならば、卒業記念品も贈与。なんなら、地域住民からの時宜にかなった贈与も受け入れるようにしておいてもいい。PTAを支えるのは贈与の束である。そういうことにしておいた方が何かと平和でよい。

 …と、こう書くと、何やら牧歌的に過ぎるだとか、会費も払わないのに記念品だけ受け取るフリーライダーを許容するのかだの言われるのは目に見えている。それでも、あえて、贈与として整理しておいた方がことは平和に済むと主張したい。

 仮に、卒業記念品をPTA会員のこどものみに渡すとしよう。そうすると、PTAは、会費を受け取ると同時に卒業記念品を引き渡す債務を負う契約を締結することになる。さて、ここで問題になるのは、PTA会員でありながら卒業式に出席しない・できないこどもの卒業記念品だ。PTAは卒業記念品を引き渡すべき債務があるのだから、卒業記念品を引き渡さないことは債務不履行になる。いじめや不適切な指導によって学校に行けない状態になったまま卒業式を迎えてしまったこどもの場合、このような「債務不履行」が起きるリスクが高くなる。こどもが卒業式に出てこなければ、紅白まんじゅうも、バウムクーヘンも渡せませんよ?まして、訴訟が起きていて、卒業証書を法廷で渡すなんて事態になるまで学校とこども・保護者の関係がこじれていたら。ますます紅白まんじゅうやらバウムクーヘンどころじゃなくなる。ってか、わたしがそうだった。親がPTA会費は払っていたが、卒業記念品は渡されてない。これって債務不履行になりません?もう今さら時効だからわざわざ訴訟を起こすこともないですけど。ただ、そこまでこじれにこじれ切っている保護者とこどもが、この際PTAを債務不履行少額訴訟を起こすことは考えられるわけだ。そうなったらどーします?債務不履行にならないために内容証明で受取の催告を出します?ああ恐ろしや。余計こじれそう。

 卒業記念品は贈与ってことにしておく方が平和だと書いたのは、まさにこのような理由だからである。贈与ならば、取りに来ないなら後から文句を言うなと法的に言えますけど。せせこましいことを言うことは、PTAを縛ることにもなることには気づきたい。「贈与」として整理する方が何かと平和である。

女性専用車両に男性が乗る権利はあるが、そんなことした男性が冷たい目で見られるのは受忍しなきゃね

 女性専用車両に「抗議乗車」と称して乗車した男性乗客が、女性乗客から暴行被害を受ける事件が発生したらしい。まあ、暴力はよろしくない。女性専用車両に男性が乗車するのは不当ではあっても違法ではないのだから、正当防衛が成立する余地もない。

 とはいえ、先も述べた通り、女性専用車両に男性が乗車するのは不当ではある。かくのごとき不当な行為に及んでいる男性に対し、シュプレヒコールなどによって批判を行うのは表現の自由の範囲内と言える。たとえば、下の動画のようなものである。

www.youtube.com 社内の女性客が一斉に「降りろ」コールをしているが、これは明白に表現の自由の範囲内。これを取り締まるのは表現の自由の侵害。乗車している男性にとっては不快極まりないかもしれないが、表現の自由の範囲内なのだから受忍してもらうしかない。

 女性専用車両を最初に提案したのは、弁護士の今井秀智さんだったと記憶しているが、氏は、女性専用車両に法的な強制力を持たせられないとの認識はあった。なので、男性客も乗車していい車両ではあると述べた。ただし、女性専用車両に乗車した男性が周りの女性客から冷たい目で見られるのは受忍しなければならないとの論を立てていた。提案者の論からすれば、女性客に「降りろ」コールをされ続け、居心地の悪い思いをするのは、女性専用車両本来の趣旨と言える。

 それと、女性専用車両の議論にローザ・パークスを持ち出してくるのは失当。女性専用車両は、女性が不利な立場に置かれていることを少しでも緩和するために設定されたもので、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第4条第1項が認めている「男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置」だ。そして、未だに、「機会及び待遇の平等の目的が達成された」とは言えない。ちなみに、女性専用車両反対派が推す防犯カメラは、その名に違えて防犯効果は限定的だ。車上狙いなどの車両関連犯罪には効果が確認されているが、その他の犯罪には効果があることが実証されていない。

障害者施設の職員が権力を持ってしまうのは避けられない。残念ながら。

 これは障害者施設という状況が大きく影響していると見た。どれだけ「ご利用者様の自己実現を目標として業務をしています」と言っても、施設職員が権力を持ってしまっている事実はある。脱施設化が予算削減の口実に使われることはよろしくないが、脱施設化そのものは必要な理由がここにある。え?権力なんて持ってないって?またまたぁ、じゃあその「ご利用者様」が夜更けに「バナナを食べたい」と言ったときに、「こんな夜更けにバナナかよ」とぼやきながらバナナ買いに行くんですか?そういうことですよ。

nordot.app 地域移行した障害者がいかに悲惨な生活をしているかを強調して、施設生活が良いと主張する向きもある。わたしに言わせれば、地域移行した障害者が悲惨な生活をしていることが、施設生活が良いことを示す根拠にはならない。単純にチェックアウトはできても出口はないだけのことだ。そう、学校から逃げたところで、学校化社会の「外」に逃げられたわけではないように。

toled.hatenablog.com

 

あえて「定番」からずらしてみると、お財布にも環境にもやさしいかも

 昨日の記事の続き。この記事に、5月の大型連休中の宿泊料金が高すぎて東京への旅行を諦め、旅行先を山形に変更した大学生が紹介されていた。

www.nhk.or.jp 昨日も書いたように、今のところは東京の宿泊料金高騰は、「過密」が生み出している。魅力的な「オルタナティブ」を提案できれば、この問題もかなりマシになる。例えば、浅草に行くために東京の宿を探していた新潟県の大学生には、埼玉県春日部市内のビジネスホテルを提案してみよう。今のところ、楽天トラベルで調べたら、東京都内と比べて割安な価格で宿泊できる。新幹線で大宮に着いたら、東武アーバンパークライン春日部駅に行って、荷物をホテルのフロントに預けて、「浅草下町フリーきっぷ」あたりを利用して浅草を存分に楽しもう。「東武東京メトロパス」も使いでがある。リーズナブルな案だとわたしは考えるが、どうだろう。

 皆が皆特定の場所に集中する、それは観光に求めるものが似通っているからだ。観光に求めるものが似通っているから、オーバーツーリズムが発生し、宿泊料金も高騰する。そこで、あえて趣向を変えて「オルタナティブ」を探してみると、割安でリーズナブルで楽しめる旅ができるだろう。問題は、「オルタナティブ」の提案が、必要なひとに届かないことだ。コロナ禍のさなか言われた「分散型旅行」もあっという間に忘れ去られてしまった。それでもJR東海が「ずらし旅」と名づけて、「オルタナティブ」を提案し続けている*1ことは評価したい。

 かくいうわたしはと言えば、旅行に行く時に「ねうちもん」(グレゴリ青山氏が「ねうちもん京都 : お金をかけずに京めぐり」メディアファクトリー、2011年にて用いたことば)を探す。そうすると、たとえば、郡上八幡に行く時に、土曜日は宿泊を関市のルートインにして、そこから長良川鉄道郡上八幡まで往復することにしたりする。郡上八幡に泊まるのは翌日曜日にする。旅費をいたずらに削ることはしないが、「ねうちもん」であるかは考える。そうすると、思わぬ出会いがあったりしてなかなかに楽しい旅行になる。「ねうちもん」を探すことが、わたしにとっては「オルタナティブ」を探すことだったりする。わたしの軸は「ねうちもん」かどうかだが、ひとによってどのような軸で「オルタナティブ」を探すかは違ってくるだろう。「サスタビ」が提案する新しい旅の20か条「新しい見どころを発見しよう」にもどこか通じる。「新しい見どころを発見する」ことそれ自体が「オルタナティブ」を探そうとの提案だから、通じるのも当然か。

sustabi.com