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児童虐待の緊急点検を見る限り、文科省は学校第一主義を変えてない

 内閣府文部科学省厚生労働省の三府省が児童虐待が疑われる事案に係る緊急点検について(依頼)という事務連絡を発出した。野田市児童虐待事件を機に虐待に遭っている子どもがいないか、学校などが点検せよとする趣旨である。

 この事務連絡では、「平成31年2月14日現在において、2月1日以降一度も登校していない児童生徒等」について、

・学校の教職員による面会
教育委員会職員(SSW、指導主事、教育支援センター職員等)による面会
・その他関係機関(民生委員、児童委員、フリースクール職員等)による面会

によって点検するように求めていた。不登校業界では、教員に会いたくない子どもが無理やり教員に面会させられるということが問題になっていた。不登校新聞もその点に着目して記事を発信していた。これだけでも、「学校に行っているのが当たり前」という意識を文科省はこれっぽっちも変えてないことがよくわかるのだが、もっとひどい話がある。

 それは、対象となる学校である。事務連絡では「国公私立の幼稚園(認定こども園を除く)、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校通信制課程を除く)中等教育学校通信制課程を除く)、特別支援学校、高等専門学校(第1学年から第3学年に限る)、専修学校の高等課程通信制課程を除く)」としていた。てっきり小中学校・特別支援学校小学部・同中学部だけが対象かと思っていたら、高校相当以上の学校も対象になっていた。

 第一点として、中学卒業後に高校などに進学しない若者は少ないながらもいる。これらの若者は今回の緊急点検の対象外である。また、近年とみに存在感を増している通信制課程の生徒も対象外になっている。このような若者を点検の対象外にしているのは、緊急点検の趣旨からすればいかがなものだろうか。学校の境目が生死の境目になっている。学校を第一に考えて、学校に通わない若者のことは無視しているのである。通信制課程に通う若者も無視している。

 やっぱり、文部科学省は学校という枠を第一に考えていて、その枠からはみ出る子ども・若者のことなど考えちゃいないのである。