ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

オンライン当事者会はオフラインを置き換えるか

いくつものひきこもり当事者会に出入りしている。オンライン当事者会も、リアル当事者会も。

オンライン・オフラインともに一長一短あって、オンラインですべてを置き換えられるとは思えない。オフライン当事者会だと、いろいろな人と一対一で話したりできるのだけど、オンライン当事者会だと誰かが話し始めたら全員がそれを聞く形になる。それが終わったら別の誰かが話して…の繰り返し。ちょっと気があった人数人で話すってのは難しい。

ひき桜がオンライン開催の検討を開始したという。30人とか集まるあのひき桜の雰囲気を、オンラインで再現できるとは思えない。下手したら、2時間の間に話できるのは参加者の3分の1くらいかもしれない。もちろん、気が合った参加者同士で話するとか無理。それこそがリアル当事者会の最大の醍醐味だったのだが。わたしの感触だと、オンライン当事者会は10人が限界。それ以上だと話したくても話せない人が絶対に出てくる。

逆に、オンライン会議ツールがめちゃくちゃ合っているシーンもある。ビジネス上の会議。これは、だいたい一人の発言者が言ったことに対して、別の発言者がさらに別の意見を…と、その繰り返しなので、オンライン会議ツールがとても合っている。商談にもピッタリ。ビジネスこそ優先してオンラインへの置き換えを進めるべきであったのに、なぜ政府はビジネスだけは最後までオンラインへの置き換えをしなかったのだろう。確かに呼びかけはしていたが、通勤の自粛までは呼びかけなかった。

直接の対面という限られたリソースを、ビジネスのために無駄遣いした。これは厳然たる事実。そして、その無駄遣いのために居場所などが軒並み犠牲になった。自助グループ一般にも言えること。そして、その結果、緊急事態宣言を出すにまで至ってしまった。なぜ、政府は、商談や会議、オフィスワークのオンライン化をもっと強力に進めなかったのだろう。なぜ、居場所的なところから先に閉めて行ったのだろう。そのことは、今でも悔しさが残っている。オフィスワークなどのオンライン化を徹底的に進めていれば、緊急事態宣言はいらなかったかもしれない。そうしたら、ひき桜も運営できていたかもしれない。

オンライン化によくなじむビジネスシーンに対面というリソースを多く割き、居場所を犠牲にした。これは厳然たる事実。明らかに配分を誤った。

緊急事態宣言を解除して、行動制限を緩めるのなら、真っ先に文化や居場所など、そういうものを優先して緩めてほしい。逆に、重厚長大産業は優先度を低く設定してほしい。行動制限をきつくしたときの逆。