ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

「あの頃」を思い出して苦しくなった

 「その人」との出会いは、2019年春の飛鳥山公園でのことだった。その日、友人が催した花見会に参加して、その席で出会った。「その人」は、わたしの目から見たら遠大に見えるプロジェクトをこれから始めようとしていた。すでにプロジェクト用の名刺は作っていて、名刺をいただいた。わたしも当事者会を主宰しているなら名刺を作ったほうがいいと勧めてくれた。その席で、危ない当事者会の話を、それも実名で教えてくれて、被害者をなんとかしたいんだと語っていた。あの日、「その人」は理想に燃えていた。

 それから少し間が開く。その年の秋のこと。「その人」は、プロジェクトを仮始動させていた。そんな秋のある日。東日本を台風19号が襲おうとしていた。「その人」は立ち上がり、オンラインミーティングを開いた。「俺たちもメディアだ、やれることはやる」と、使命に燃えていた。やや空回り気味のところはあったかもしれないが、わたしと同じような人間が、今まさに台風が襲って来ようとしたときにわーわーやる場になった。わたしはそのあと荻上チキさんのラジオを聴いて、いつもの荻上チキさんの声を聴いて、来るべき台風への覚悟をした。あの日、「その人」が開いた場と、荻上チキさんの声が、大嵐の夜を越す心細さをどれだけやわらげたことか。

 冬が来た。また、とある場所で出会い、今度は、ひきこもり当事者の場での暴力の問題について語った。その時も、「その人」は、暴力に憤りを見せて、やっぱり理想に燃えていた。粗削りだったけど。

 年を越して、2020年。「その人」との関係がおかしくなった。トランスジェンダーの方の人権をめぐって対立した。あの時の理想に燃えていた「その人」のことしか知らなかったので、ショックだった。その前に、セクシャルマイノリティの方を指す蔑称をTwitterで口にしていた。それらのこともわたしはいさめた。そうしたら、「その人」は、脅迫的な発言をした。さすがにもう付き合えないと宣言したら、逆に怒って、「その人」が自ら警察に行った。わたしのことをどうかしようと企んだのだろう。結果は「その人」が警察で厳重注意されて帰ってきたのだけど。

 それからは、互いに対立するばかり。もう、理想に燃えていた「その人」はどこにもいなかった。ただ、「わたし」を潰そうとする「その人」しかいなかった。

 近年まれに見る規模の台風が東日本を襲おうとしていた夕方、使命感と理想に燃えていた「その人」のことをふと思い出して、とても苦しくなった。どうしてこんなことになっちゃったんだ。生きづらさJAPAN代表のなおさん。

 

友よ その昔 俺たちは汗をかいた
友よ その昔 俺たちは西陽を追いかけた
友よ その昔 俺たちは土の匂いをしてた
友よ その昔 俺たちは守るために走ってた

友よ 君たちは今 汗をかかなくなったね
友よ 君たちは今 西陽に背を向けてるよね
友よ 君たちは今 土の匂いに鼻をつまんでる
友よ 俺は今でも 守るために走っていたいのだ

長渕剛「友よ」