ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

語りえぬもの

 わたしはなにかと批判的に、それも強めに論ずる傾向はあるんだけど、それでも語りえぬものってのは存在する。たとえば、加害と被害が起きた事件で、被害に対してどう償うことがよいのか考えもつかないような事件。そのような事件を目にすると、加害に対しては許せないとの気持ちは当然出る。出るのだけど、それを口にすると途端に嘘くさくなって、言葉がのどに張り付いたような感じになって、結局言葉には出せない。そういう事件は、わたしの目から見たら、裁判所が判決で出した命令に従うことでよしとして決着したことにするほかないような事件であったりする。そういう事件について、わたしはとても語りえないので、何も語らないことにしている。