ふらふら、ふらふら

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建設関係で働くひとの給与が高い事実はない

 このまとめで「現場作業の賃金は上がっている、ネット民がバカにしているだけで」との主張が展開されていた。

togetter.com そこで、ここで述べられている「現場作業」の代表格である建設職の給料がそんなに高いのか、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2022年)のデータをひっくり返してみた。その結果が下の表である。「左記より算出した年間収入」は、「きまって支給する現金給与額」が月ごとの数値、「年間賞与その他特別給与額」が年ごとの数値なので、「きまって支給する現金給与額」を12倍して年ごとの数値を算出したうえで「年間賞与その他特別給与額」と足し合わせた。

 まずは従業員10人以上の企業から。給与額の単位は千円、労働者数は十人。

  年齢 勤続
年数
所定内
実労働
時間数
超過
実労働時間数
きまって支給する現金給与額 所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 労働者数 左記より算出した年間収入
全職種計 43.7 12.3 165 12 340.1 311.8 884.5 2790674 4965.7
建設躯体工事従事者 41.4 9.3 176 11 328.6 306.3 366.6 10724 4309.8
大工 43.2 12.8 180 9 307.6 274.6 375.4 1384 4066.6
配管従事者 44.4 13.8 175 12 338.8 312 787.2 8325 4852.8
その他の建設従事者 42.6 11.4 180 13 337.9 307.6 551.7 8516 4606.5
電気工事従事者 42.2 12.9 168 16 344.3 305.2 936.3 19448 5067.9
土木従事者,鉄道線路工事従事者 46 10.5 173 10 310.9 285.8 440.2 22917 4171
ダム・トンネル掘削従事者,採掘従事者 50.8 11.7 173 24 411.6 350.5 591.5 1042 5530.7

 続いて従業員規模5人から9人の企業。

  年齢 勤続
年数
所定内
実労働
時間数
超過
実労働時間数
きまって支給する現金給与額 所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 労働者数 左記より算出した年間収入
全職種計 47.5 12.6 170 7 293.8 280.6 458.6 167529 3984.2
建設躯体工事従事者 48.4 12.7 175 7 304.7 291.4 217.8 2366 3874.2
大工 57.5 11.4 175 14 306.1 277.9 213.2 846 3886.4
配管従事者 44.3 13.6 178 6 320.9 305.9 650.6 3796 4501.4
その他の建設従事者 45.3 13.6 184 7 322.6 302.3 308.6 5789 4179.8
電気工事従事者 44.8 13.6 180 9 321.2 303.6 537.3 4315 4391.7
土木従事者,鉄道線路工事従事者 53 11.3 167 2 296.1 290.9 240.4 6291 3793.6
ダム・トンネル掘削従事者,採掘従事者 52 16.3 173 13 417.4 400 162.6 165 4962.6

 従業員規模10人以上の企業の全職種平均を上回るのは、ダム・トンネル掘削従事者,採掘従事者及び電気工事従事者(ただしこちらは従業員規模10人以上の企業のみ)のみであった。近年上昇傾向にあるのかもしれないが、全職種平均よりも年収が高いとは言えない結果になった。しかも実労働時間は長い。建設関係に関しては、少なくとも2022年時点では、賃金が安いから労働者が集まらないだけと言える。