ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

なんにせよ、やり過ぎはよくないが

香川県議会がいつの間にかネット・ゲーム依存症対策条例なるものを成立させていた。まあ、ひっくり返った。香川県議会のお歴々が、あからさまにゲーム・インターネットを敵視しているのがよくわかりましてね。

まあ、確かにネット依存症やゲーム依存症ってのがあるのかもしれない。ないのかもしれない。とにかくICD-11には正式に精神および行動の障害の章に載った。とはいえ、これは精神科医たちの合意をまとめたに過ぎない文書である。ゲームにしてもインターネットにしても勉強にしても読書にしても美術鑑賞にしても部活動にしても。部活動に熱中して睡眠時間が短くなるなんて状態も、健康に悪いことは間違いない。だが、「部活動依存症対策」なんてものは取り上げられる見通しもない。「スポーツ依存症」なんて精神疾患が精神医学界で認められる見通しもない。精神科医たちの合意が、必ずしも価値中立的ではないことを示す一例。精神医学を全否定しているのではない。精神医学には明らかに限界があることを書いている。そして、その限界を知った上で精神医学を利用するべきだ。

仮に、ゲーム依存症なる精神疾患が実在するとしても、その予防法に関しては、現在の精神医学は何の知見も得られてないことも知らなければならない。ネットやゲームを60分に制限すれば「依存症」を予防できるなんてエビデンスはどこにもない。

それでも、一つのものに過度に依存するのは確かに良くないとは言える。ただ、一つのものに過度に依存する状態は、その「一つのもの」へのアクセスを制限しても、どうもあまり効果なさそうである。よって、ゲームを否定せず、ゲーム以外も豊かにすることこそが必要だ。それには予算も割かなければいけないし、大仕事なのは間違いないが。だからといって、突然「家族の触れ合いを大事にしよう」なんて言い出されてもどうしようもないが。家族の触れ合いなんてものは人為的に作れるものではないし、家族なるものに過度に依存するのもゲーム依存なるものと同様に有害だ。どういう形で有害事象が発生するかは違うが。