ふらふら、ふらふら

あっちこっちふらふらしている人間が何かを書いてます。

分断を加速させるか?連帯を加速させるか?

毎度毎度国際医療福祉大学の和田耕治先生のインタビューを出して、しかもだいたい辛辣なことを書いていて、申し訳ないとは思うが、それでも書かざるを得ない。何度も出しているインタビュー。

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-wada-3

この中で、和田耕治先生は、「技術の進歩でテレビ会議もできるようになりましたし、ネットでの懇親会や、マラソンを各自で走ってタイムを報告するといったことも始まっています。人は物理的に離れてもつながることができるようになりました。みんなで知恵を出し合いながら、前向きな行動と新しい価値観で、新型コロナウイルス対策を創り出していくべきだと思います。」と話していた。わたしは、毎度毎度、物理的に離れていても人がつながり続けられるとは思えない、物理的な距離は必ず心理的な距離につながり、最後は社会全体に徹底的な分断をもたらし、目を覆いたくなるような悲惨なことになると考えている。

希望はある。中国はこのウイルスを抑え込み、韓国はこのウイルスを今まさに抑え込もうとしていて、日本はこのウイルスを抑え込む方法を見つけ出そうとしている。3か国とも、それぞれ特徴のある対策を採用して、少なくともやればやっただけの効果があることを見つけ出した。

方法は見つかりつつある。あとは、それを実行する政治の力だ。中国の武漢が大変な状況になっているときに、日本の東京が無事であるはずもない。もっとも、このウイルスは、地域ごとに流行の状況がまったく違うらしいから、流行がひどくない地域・流行がひどい地域のコントラストが激しい。東京都内で激増しているのに、千葉市内では4週間以上新しい患者さんが報告されていないなんてことが起こっている。

https://twitter.com/kumagai_chiba/status/1242926406897528832

余裕のある地域から、余裕のない地域にリソースを提供する戦い方ができるということを示している。ここで連帯だ。わたしたちはいま、連帯を加速するか、分断を加速するかの分岐点に立っている。なるべくオンラインで済ませるのは、ひとつの選択肢だが、それは分断を加速させる。全世界で連帯を強化して、このウイルスを一掃すること。それができる可能性は、ゼロではない。

ただ自粛要請をしたとしても、それによって経済的に破綻する人には聞き入れてもらえない。そして、それは、結局はあなたの収入をも失わせることになる。ここでも連帯が重要になる。

忘れないようにしよう。大通りが苦しんでいるときに、ウォール街が繁栄を続けることはできないとバラク・オバマさんが大統領選勝利演説で話していたことを。

日本国憲法が、「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」と前文で書いていることを。

国際労働機関の目的に関するフィラデルフィア宣言が、

一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である。

欠乏に対する戦は、各国内における不屈の勇気をもって、且つ、労働者及び使用者の代表者が、政府の代表者と同等の地位において、一般の福祉を増進するために自由な討議及び民主的な決定にともに参加する継続的且つ協調的な国際的努力によって、遂行することを要する。

としていることを。

一番夢物語と思える連帯が、一番現実的な選択肢であることを。

COVID-19との戦いについての戦略に一番足りないのは、連帯だ。

【付記】

世界保健機関は、COVID-19との戦いのための寄付を全世界から募っている。リンクしておくので、余裕がある方はぜひ。あなたが寄付することによって、このウイルスとの戦いが加速するのは間違いない。わたしもわずかではあるが寄付した。

https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/donate